数論への招待

加藤和也 数論への招待

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定理1

120°整数三角形の120°の対辺は,3で割って1余る素数の積.

Ex. (7, 5, 3), (91, 80, 19)

 

定理2

90°整数三角形の90°の対辺は,4で割って1余る素数の積.

Ex. (3, 4, 5), (33, 56, 65)

 

定理3

4で割って1余る素数は,整数の二乗和で書ける.

Ex. 13 = 2^2 + 3^2, 53 = 2^2+ 7^2

 

 

90°整数三角形と複素数

4で割って1余る素数 pについて,定理3より,整数 x,yを用いて,

 p = x^2 + y^2 = (x + yi)(x - yi)

とかけるから, \sqrt{p}複素数平面上で x + yi に対応する点(の絶対値)であり, pを斜辺とする直角三角形は (x + yi)^2 = (x^2 - y^2) + 2xyiに対応する.

(ここから,整数 x,yに対して, (x^2+y^2, x^2 - y^2, 2xy)で直角三角形を作ることができることも分かる.)

4で割って1余るの"4"は iが1の4乗根であることに由来する. 

 

120°整数三角形と複素数

 \omega ^3 = -1なる \omegaを用いて,120°整数三角形は,複素数平面上で a - b\omegaに対応する点として表せる.

3で割って1余る素数 pについて,整数 a,bを用いて,

 p = (a - b\omega)\overline{(a - b\omega)}= (a - b\omega)(a - b\omega^2)

と書けるから,  \sqrt{p}複素数平面上で a - b\omega に対応する点(の絶対値)であり, pを斜辺とする120°整数三角形は (a - b\omega)^2 = (a^2 - b^2) - (b^2 + 2ab)\omegaに対応する.

 (ここから,整数 a,bに対して, (a^2+ab+b^2, a^2 - b^2, b^2+2ab)で120°整数三角形を作ることができることも分かる.)

3で割って1余るの"3"は \omegaが1の3乗根であることに由来する.